HDRIとは

これから勉強していHDRIとは、High Dynamic Range Image(ハイ・ダイナミック・レンジ・イメージ)のことです。”HDR画像”や、”HDRイメージ”、”HDR-image”などと表記される事もありますが、この勉強部屋ではHDRIで統一して表記していく事にします。

 

  HDRIをはじめに簡単に定義しておきます。

  HDRIの”HIGH”とは、そのまま”高い”という意味です。そして”Dynamic Range"とは、画像の中に含まれる「最も暗い領域(黒)から最も明るい領域(白)の明るさの幅(比)」を表します。Imageは”画像”です。これを総合すると「HDRIとは幅の広い明るさの情報をもった画像」ということになります。

 

  では幅の広い明るさの情報をもつ画像とは、どういう画像でしょうか?

  HDRIをより良く理解するために、通常のデジタル画像(JPEGファイルやビットマップファイルとして記録される画像)と比較して勉強していくこととします。

 

 

  通常のデジタル画像の明るさの幅は、256階調です。これは明るさの範囲が、一番暗い真っ黒から一番明るい真っ白まで256段階(レベル)あるということです。真っ黒の明るさをレベル0とすると、真っ白がレベル255となります。

  JPEGやビットマップなどの通常のデジタル画像は、色を光の三原色と言われる赤(RED)、緑(GREEN)、青(BLUE)の3色に分解して記録しています。赤、緑、青(以下RGBと表記)それぞれの色の明るさの階調(レベル)を記録しておいて、デイスプレイなどに表示する際にその情報を混ぜ合わせる事で、もとの色を復元しているのです(加法混色)。通常のデジタル画像はRGBをそれぞれ8bitで記録しています。8bitで表現できる色の明るさの幅が2の8乗で256階調になるのです。

   RGBのそれぞれの明るさを8bitで記録するので、通常のデジタル画像では1色を24bitで記録しています。表現できる色の組み合わせは 256×256×256の16,777,216色ということになります。約1,678万色というと無限にも思える色の種類ですが、明るさの幅という観点で考えると256階調のままです。約1,678万色というのはあくまでも色の種類であって、その色の持つ明るさを考えると、RGBそれぞれの明るさの幅である256階調のままなのです。ですので、この256階調の明るさの幅を超える、明るさの幅を持つ画像がHDRIということになります。このHDRIと対比して、JPEGなどの通常のデジタル画像をLDRI(Low Dynamic Range Image)という事もあります。この勉強部屋では、それにならいJPEGなどの256階調(もしくはそれ以下)のダイナミックレンジの画像をまとめてLDRIと表記する事にします。

HDRIの意図するところ

HDRIの意図するところは、実際の太陽光からまったく日の当たらない深い闇まで、人間が認識できるレベルに基づき表現する事だそうです。例えば、デジタルカメラで撮影したLDRIに太陽と白い壁が写っていたとして、どちらも写真上では白(#ffffff)だったとします。デジタル写真上は、同じ白でも明るさの観点から考えれば、実際には太陽の方がはるかに明るいはずです。しかしながら、256階調しかないLDRIでは、太陽の光も白い壁も同じ白とするしか表現ができないのです。仮にLDRIで太陽の光と白い壁にはっきりとした明暗の差をつけるとなると、太陽と白い壁以外に写真に写っている要素が、暗くなりすぎてしまうのです。

  HDRIでは、このようなLDRIの表現の限界を克服し、現実の世界の明るさ(明るさの強弱/明るさのグラデーション)をなるべく損なう事がないようにと意図して考え出された概念です。